事業計画(再建計画)の策定

事業計画とは

事業計画」とは、事業の目的を達成するための具体的な行動計画をいいます。

「経営計画」や「再建計画」と呼ばれているものも、「事業計画」の一つです。
企業が経営目的を達成するための具体的な行動計画が「経営計画」であり、企業再生(事業再生)を目的として作成される具体的な行動計画が「再建計画」であり、どれも「事業計画」です。

何を」「いつまでに」「どのように」実行するのか、具体的に定めたものが「事業計画」です。

 

事業計画の必要性・重要性

経営不振に陥る中小企業というのは、事業計画(経営計画)が作成されていなかった場合が多いようです。

事業計画があれば、経営の目的を達成するためにどのように行動すべきかが明確になっていることから、裏を返せば、目的が達成できないような状況になれば、それがはっきり分かり、経営の「黄色信号」となるのです。

このように、順調に経営をしていたときでも、事業計画はとても有用なものです。
まして、現状を変革して、企業再生によりV字回復しようとする場合には、より具体的な行動計画が必須であることは言うまでもありません。

企業再生を成し遂げるために、何を・いつまでに・どのように実行すべきか、事業計画(再建計画)を定めることが必須です。
それは経営を再建するだけでなく、ふたたび企業再生する状況に陥らないようにすることにもつながります。

事業計画(再建計画)の作り方 - シンプルに

一般に、事業計画、経営計画というと、経済状況や市場環境など外部環境を分析することから始めて、自社の経営資源を詳細に分析し、それに基づいて経営方針や経営戦略を策定し、業績目標を決め、資金計画、設備投資計画、人員計画、損益計画などを作成し、、、と、おおがかりに作成する難解なイメージがあるのではないでしょうか。

企業再生では、できるだけ早く着手するとともに、企業経営にできる限り注力するため、できるだけシンプルな事業計画(再建計画)を策定することをお勧めしています。

基本的な構成としては、次のものがあれば十分です。

1.現状分析(問題点・課題の洗い出し)2.1に対する改善策・経営方針(アクション)

3.数値計画(損益計画、資金計画、返済計画等)

具体的なアクションと数値で、どのように再建するのか示すことが必要です。

 

 事業計画のポイント

当事務所が事業計画の作成をお手伝いする際に、次のポイントを重視しています。

1.会社が主体となって作成すること

会社の経営者や従業員が主体的に決めたことでなければ、それを実際に実行することは難しいです。絵に描いた餅では意味がありませんし、企業再生は簡単ではありませんので、他人まかせでは企業再生は成し遂げられないからです。
もちろん、 会社自身が主体的に事業計画を作成できるよう、当事務所がアイデアを出してサポートいたします。ただし、当事務所は、貴社の業種、事業分野のプロではありません。その意味でも、その業界に精通した会社自身が事業計画を作成する必要があります。

2.経営者だけでなく、従業員にも参加してもらうこと

中小企業では、社長のワンマンやトップダウンが多いのが実情ではないでしょうか。そのため、 企業再生というと、経営者だけの問題にとらえられがちです。しかし、経営者がいくらトップダウンで指示をしても現場では十分な成果は得られません。

事業計画を作成するにあたっては、まず現状の問題点を挙げる必要があることは、すでに説明しました。その問題点を現場の従業員もたくさん感じているはずです。
そのため、企業再生を成し遂げるためには、トップダウンだけでなく、現場の従業員からのボトムアップが必須です。経営者が従業員の意見を広く取り入れ、経営者と従業員が一体となって進める事業計画を作成します。
もちろん、そのためには、従業員が協力できるような、インセンティブを与えることも必要です。

3.売上の増加だけにこだわらないこと

企業再生が必要となった企業を見ていると、市場規模が拡大していないにも関わらず、売上の増加にとらわれてしまっている企業が多いように感じます。
確かに、10年ぐらい前までは、売上が下がると銀行に評価されませんでした。また、売上が上がり続けていれば、利益も上がるので経営不振に陥ることはないでしょう。

しかし、ご承知のように、日本経済は、バブル崩壊後、大きな成長を遂げられていません。IT関連を除けば、市場規模が拡大している業種はほとんどないといえます。

そのような状況下では、市場規模、売上が伸びない中で、それに費用を合わせていくような経営、損益分岐点を意識した経営も、あり得るのではないでしょうか。

売上が増えなくても、営業キャッシュフローがプラスならば、企業は存続します。
現状の売上に対して費用のバランスをとり、営業CFをプラスにすることも企業再生の選択肢の一つです。

4.リストラ(従業員の解雇)は、最後の最後の選択肢!

大企業の再生では、リストラ(従業員の解雇)のニュースをよく聞きます。
確かに、リストラはコスト削減の効果が大きいといえます。しかし、企業再生のために安易に用いられるべきではないと考えています。

それは、企業再生は誰のためか? 企業再生の目的は、従業員の雇用と生活を守ることだと考えているからです。

したがって、リストラ(従業員の解雇)は、最終手段であって、できるだけ避けるべきだと考えています。

5.債務免除をできるだけ求めないこと

企業再生では、金融機関による債務免除という話を聞きます。そのための法制度もたくさん用意されています。
そのため、企業再生では、まず第一に債務免除を求めるものだと思いがちです。

しかし、債務免除というのは、借りたお金を返さないということです。本来あるべき形ではありません。

返済期限を猶予してもらったり、返済期間を延ばしたりしてでも、借入金は返済すべきですので、できる限り債務免除を求めない企業再生をすることを考えています。

6.経営管理(予算管理)体制を構築すること

企業再生を成し遂げたとしても、また経営不振に陥ってしまっては意味がありません。
企業再生をする企業は、事業計画を作成していないことが多いことはすでに説明しました。

そこで、企業再生にあたっては、経営管理体制、具体的には、予算制度、資金繰り、原価管理などを整備することが必須だと考えています。

事業計画が予定どおり進捗しているのか、予実分析(予算実績差異分析)などを通じて経営管理することで、企業再生を成しとげることができるのです。

 

 

 

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